祈りのカルテと日本の臓器移植の現状

医療
  1. 祈りのカルテを読んで
  2. 日本の臓器移植の現状

1、祈りのカルテを読んで

知念美希人先生の「祈りのカルテ」を読みました。元々単行本で発売された時、色々な章にノミネートされてたので評判も高く、早く読みたかったのですが、今回文庫で発売されたため直ぐに書いました。内容は以下の通りです。

5つの感動がここに。連作医療ミステリ!諏訪野良太(すわのりょうた)は、純正会医科大学附属病院の研修医。初期臨床研修で、内科、外科、小児科など、様々な科を回っている。
ある夜、睡眠薬を大量にのんだ女性が救急搬送されてきた。その腕には、別れた夫の名前が火傷(やけど)で刻まれていた。離婚して以来、睡眠薬の過剰摂取を繰り返しているというが、良太は女性の態度と行動に違和感を覚える。彼女はなぜか、毎月5日に退院できるよう入院していたのだ――(「彼女が瞳を閉じる理由」)。初期の胃がんの内視鏡手術を拒否する老人や、循環器内科に入院した我が儘な女優など、驚くほど個性に満ちた5人の患者たちの謎を、新米医師、良太はどう解き明かすのか。「彼」は、人の心を聴ける医師。こころ震える連作医療ミステリ!(あらすじより)

主人公が研修医でかなりぐいぐい入ってくるのは置いといて、医療ものとして診断つかない病気や事件を解いていく「天久鷹央」シリーズのように読みやすかったです。5編のオムニバスから成っていますが特にその最後の循環器内科に入院した我が儘な女優が患者の「胸に嘘を秘めて」が良かったです。

かつての有名女優だった四十住絵理は拡張型心筋症でアメリカでの臓器移植を待っていた。それまで補助型人工心臓を使って諏訪野医師の勤める病院の特別病棟に入院していたのだった。女優としての評判を落とさないために秘密裏に入院していたが、ある時入院しているのがバレてしまう。そして、それを期に事務所はアメリカでの臓器移植に必要な多額の治療費を集めるのであった。

これを読んでいると改めて日本の臓器移植の現状が気になったため調べてみました。

2、日本の臓器移植の現状

臓器移植ネットワークのホームページには次のようにあります。

図1 日本の臓器移植数の推移(臓器移植ネットワークホームページより)

「世界の臓器提供数を人口100万人あたりの臓器提供者数として世界の国々と比較すると、日本は0.77であり、アメリカの1/43、韓国の1/11に過ぎないことから、他国と比較して臓器の提供件数が少ないといえます。 言い換えると、日本は、自国において臓器移植を受ける機会が少ないこととなります。アメリカでは、人口3億2800万人に対して年間約1万人が死後に臓器提供しており、臓器移植件数は2万件を超えます。 一方で、日本では、人口1億2000万人に対して、死後に臓器提供する人は年間100人前後(臓器移植件数は400件程度)となり、アメリカやヨーロッパの諸外国等と比較しても格段に少ないのが現状です。この要因としては、脳死を人の死として受け入れることの抵抗感や臓器提供の施設が限定されていること等が影響していると考えられています。また、これらに加えて、国毎の臓器移植に関する制度の違いも影響をします。
制度には大きく2つあり、一つは、アメリカ、ドイツ、イギリスのように本人が生前、臓器提供の意思表示をしていた場合、または家族が臓器提供に同意した場合に臓器提供が行われるOPTING INという制度、もう一つは、オーストリアやフランス、スペインなどの本人が生前、臓器提供に反対の意思を残さない限り、臓器提供をするものとみなすOPTING OUTという制度です。
人口の少ない国でもOPTING OUTの制度で取り組む国は、提供数が多くなる傾向があります。
なお、どちらの制度の場合も実際には家族の反対があれば臓器提供は行われません。移植を受けた人の平均的な待機の期間として、心臓は約3年、肝臓は約1年、肺は約2年半、膵臓は約3年半、小腸は約1年となっています。特に、待機者の多い腎臓移植は約14年」

図2 各国の臓器移植数(臓器移植ネットワークホームページから)

ここに書かれているように日本での生死の概念は大きく関わっていると思いますが、図2のような国の制度の違いはかなり大きいと思います。オーストラリアやフランスなどのOPTING OUTという制度は本人の確認がなければ臓器移植していいとなればそれは臓器移植数も増えそうです。そしてその脳死判定も日本の場合には時間を要したり、他の国と比べると簡易的ではありません。数が少ない結果、施設や医師の臓器移植に慣れていない部分も大きいと思います。日本にはかなり多くのハードルがまだ残されていると思いました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました